2009年05月10日

沖縄編 その九

バンドのパート演奏が始まった。
最初はジョージのソロである。
静かに、雄大に、いかにも沖縄の海を連想させる。
その中に私は浸っていたが、いきなりフォルテシモに転じ、バンド全員の演奏が始まった。
途端に調整室はパニックに陥った。24個のメーターの針が、振り切れ、右側にめり込み、痙攣を起こしている。
ミキサー卓のマイクラインごとについているオーバーロードの赤いランプが、つきっぱなしか、もしくは、すごい勢いで点滅している。すさまじい音量のレベル差だ。
スタッフ全員が私の方を見ている。
こういう場合、どういう訳か《私はニャッと笑ってしまう。こういうシチュエーションが好きなのかもしれない。我ながら、変な奴である》
すぐさま、傍にいた関口に命じ、メーターの針が0VUを差すまでバンド以外の全フェーダを下げさせた。
次に、マイクトリムを絞り、赤いオーバーロードランプを消していった。このまま、同じ状態が続くと機材が危ないのである。
トリムを絞ると、さらにメーターの針は下がっていった。
ふと、ミキサー卓の前方に置いてある会場内を映し出しているモニターに目をやると、オケピットの中の演奏者のほとんどが、耳を塞いでいる。
バンドはオケピットのすぐ上で演奏しているのだ・・・
こりゃ拷問だな・・・笑
しかし、耳だけはバンドの演奏を追っている。本土では全く聞けない、凄いドライブ感のある演奏だ。正確でリズム感も今まで本土で体験したバンドとは違うのである。
私はメインミキサー卓の前にいき、素早くバンドのバランスをとり、演奏に聞き入った。
理屈ではない、沖縄の血の演奏だと私は確信した。
posted by アナログオヤジ at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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